Adaptive Server Anywhere (SQL Anywhere) とサードパーティの バックアップ/アンチウィルス・ソフトウェア

 
 

本書では、Adaptive Server Anywhere (SQL Anywhere) とサードパーティのバックアップ/アンチウイルス・ソフトウェアに関してよく尋ねられる質問を扱います。

概要

多くの場合、Adaptive Server Anywhere (SQL Anywhere) のユーザはコンピュータ環境の一部としてサードパーティのバックアップ・ソフトウェアやウイルス・ソフトウェアも使用します。そのため、次のような疑問がいくつか生じます。

・このソフトウェアをAdaptive Server Anywhere (SQL Anywhere) と共に使用できるのか
・何か知っておくべき注意点や問題点はあるのか
・ほかに選択可能な方法はあるのか

本書では、これらの質問に答え、付加的な製品がAdaptive Server Anywhere (SQL Anywhere) と共にどのように機能するのかについて、その全体像を説明します。


はじめに

Adaptive Server Anywhere (SQL Anywhere) を操作する場合は、次のファイル・タイプの一部または全部を扱う可能性があります。


基本的なデータベース・ファイル

・メイン・データベース・ファイル (.db)#
・トランザクション・ログ (.log)#
・トランザクション・ログ・ミラー (.mlg)#
・テンポラリ・ファイル (.tmp)#*


付加的なファイル


・DB 領域ファイル (.db または .dbs)#
・ライト・ファイル (.wrt)#
・圧縮データベース・ファイル (.cdb)#

# これらは Adaptive Server Anywhere (SQL Anywhere) インストールのデフォルトのファイル名拡張子または推奨されるファイル名拡張子ですが、これらの拡張子がないファイル名を使用することもできます (たとえば、DB 領域ファイルの名前を databasename.db、databasename.dbs やその他にすることができます )。

これらのファイルとデータ格納方法の詳細については、「Adaptive Server Anywhere Data Storage (英語)」(http://my.sybase.com/detail?id=1009483) を参照してください。

・テンポラリ・ファイルは、環境変数によって指定された場所に保存されます。次の環境変数が順番にチェックされます。

・ASTMP
・TMP
・TMPDIR
・TEMP

上記のどの環境変数も定義されていない場合、Adaptive Server Anywhere (SQL Anywhere) は Windows オペレーティング・システムのカレント・ディレクトリ、または UNIX の /tmp/.SQLAnywhere ディレクトリにテンポラリ・ファイルを配置します。

特定のアンチウイルス・ソフトウェアやサードパーティのバックアップ・ソフトウェアと共に Adaptive Server Anywhere (SQL Anywhere) を使用すると問題が発生することがあります。Adaptive Server Anywhere (SQL Anywhere) データベースでサードパーティのバックアップ・ソフトウェアやアンチウイルス・ソフトウェアを実行する場合の注意点について、いくつか説明します。


サードパーティのバックアップ・ソフトウェア

本書の作成時点では、iAnywhere Solutions は、Adaptive Server Anywhere (SQL Anywhere) データベースでのサードパーティ製バックアップ・ソフトウェアの使用をサポートしていません。ライブ・データベースをバックアップする場合に使用できるのは、Adaptive Server Anywhere に付属しているバックアップ・ツールだけです。Sybase データベースをバックアップできる製品がいくつかありますが、それには Adaptive Server Anywhere (SQL Anywhere) データベースが含まれない場合があるので注意してください。

これは、サードパーティのバックアップ・ソフトウェアを使用してデータベースをバックアップすることができないという意味ではなく、単に特別な注意点や従うべき手順があるということを意味します。

サードパーティのバックアップ・ソフトウェアを使用して実行中のライブ・データベースをバックアップすることはできません。これは、変更されたデータベース・ページのいくつかはデータベース・サーバのキャッシュに入るため、データベース・ファイルが不整合な状態になるからです。サードパーティのソフトウェアと組み合わせることができる一般的なバックアップ方法を次にいくつか示します。

・Adaptive Server Anywhere (SQL Anywhere) データベース・ファイルを (Sybase Central、Interactive SQL の BACKUP DATABASE 文、または dbbackup ユーティリティを使用して) バックアップしてから、サードパーティのバックアップ製品で、Adaptive Server Anywhere (SQL Anywhere)バックアップによって作成されたファイルをバックアップします。CREATE EVENT 文を使用すると、バックアップの自動実行をスケジュールできます。

・データベースを停止してから、サードパーティのバックアップ・ソフトウェアを使用してデータベース・ファイルをバックアップします。

・本書の始めに挙げたファイルをバックアップから除外します。

Adaptive Server Anywhere (SQL Anywhere) に付属しているバックアップ・ユーティリティは、フル・バックアップやインクリメンタル・バックアップなどの多数の機能を備えています。これらの機能は、実行中にユーザが介入しなくても済むように Adaptive Server Anywhere (SQL Anywhere) 内で自動化できます。これらのツールを使用すると、ニーズに合わせてバックアップ方式を調整できます。また、適切に使用すれば、必要なときにバックアップを役立てることができます。

注:データベースのバックアップだけでなく、データベース・バックアップのテストと検証を行うことも重要です。バックアップのテストと検証は、採用するバックアップの種類に関係なく必ず行ってください。


アンチウイルス・ソフトウェア

一般に、アンチウイルス・ソフトウェアは、問題なく Adaptive Server Anywhere (SQL Anywhere) と共に使用できます。ただし、パフォーマンスに関する問題や破損が発生することがあります。Adaptive Server Anywhere (SQL Anywhere)は、通常の I/O 操作以外で多数の読み書きを実行します。これは、Adaptive Server Anywhere (SQL Anywhere)の優れたパフォーマンスの一因となっています。ただし、アンチウイルス・ソフトウェアはこれを潜在的な問題として検出し、ファイルを隔離することがあります。これは、.log またはテンポラリ・ファイルが隔離される場合に特に危険を及ぼす可能性があり、データベースの通常の機能を妨げることによって破損を引き起こす可能性もあります。また、データベース・サーバによって実行される I/O 操作をアンチウイルス・ソフトウェアがすべてチェックしている場合は、パフォーマンスが低下することがあります。アンチウイルス・ソフトウェアのインストール後には、パフォーマンスに関する上記の問題が Adaptive Server Anywhere (SQL Anywhere) だけでなくシステム上のすべてのプログラムに影響する可能性があります。

通常、これらの問題は、ウイルス・ソフトウェアがデフォルトでマシン上のすべてのものをスキャンすることが原因と考えられます。最高のパフォーマンスと最適な適用範囲を実現するようにウイルス・スキャン・ソフトウェアが調整されていることを確認するには、そのソフトウェアの製造元が提供するマニュアルを参照してください。本書の始めに挙げたファイルをウイルス・スキャンから除外することをお勧めします。また、実際のソフトウェア・パッケージ自体に対して適用できるバグ修正に加え、最新のウイルスからシステムを保護するためにウイルス・ソフトウェアを常に最新の状態に維持する必要があることにも注意してください。

注:通常、データベース・ファイルとその対応ファイルがウイルスに感染する危険はほとんどありません。Adaptive Server Anywhere (SQL Anywhere) データベースが停止したときには、完全に手動でウイルス・スキャンを実行できます。


追加情報

バックアップとリカバリ

・SQL Anywhere Studio マニュアル
『Adaptive Server Anywhere データベース管理ガイド』の「バックアップとデー タ・リカバリ」

・技術資料 (http://www.ianywhere.jp/sail/techdoc/tech_index.asp)
「dbvalid を統合データベースのバックアップに対して実行できない理由」
「マシンの障害に対する保護」
「SQL Remote 環境用のフェールオーバー・システムの作成」
「ASA データの保護:RAID 配列とログ・ミラーリング」


・英文技術資料
「What Backup, Recovery, and Disaster Recovery Mean to Your Adaptive Server Anywhere Database」 ( http://my.sybase.com/detail?id=47877)
「Using Event Handlers to Implement an Effective Backup Strategy in Adaptive Server Anywhere」 ( http://my.sybase.com/detail?id=1012024)
「Recovery from a Single, All-Inclusive Log File ( http://my.sybase.com/detail?id=1010802)


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